第59章
栗原壱成 ヴァイオリンリサイタル

共演 pf.多賀谷祐輔
 
連日季節はずれの猛暑の中、銀座でちょっとクラシック第59章、栗原一成さんのバイオリンリサイタルです。栗原さんは神奈川県鎌倉市出身で、東京芸術大学を卒業。留学に向けて研鑽中です。共演は、多賀谷祐輔 たがやゆうすけさん。東京藝術大学音楽学部附属高校、同大学を経て、大学院修了。高校在学中から数々の受賞、現在同大学非常勤講師をされています。
第1部と第2部とも、バラエティーに富み、かつ気合いの入ったプログラムです。
まずはBach Violin Solo Sonata第1番からAdagio&Fuge,
続いてパガニーニ24のカプリスの中で、最も有名な24番をソロで、
ついで ロッシーニのオペラ、タンクレディの、「こんなに胸騒ぎが」というアリアから、IPalpiti,
一転して明るくモーツァルトのロンド。
ここでチェロの 若狭直人さんを迎え、メンデルスゾーンのピアノトリオから第1楽章。こんな小さなコンチェルティーナで、トリオの名曲が聴けるとは!楽器の中にいるような迫力と臨場感でした。
アンコールは、フォーレの夢のあとに、をピアノトリオ版で聴かせて下さいました。
第2部 もBach Violin Solo Sonata no.1 Adagio& Fugeで始まりました。疲れを見せず、パガニーニカプリス24番の後、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番。 人気の協奏曲を全楽章。そしてベートーベンのヴァイオリンソナタ第8番、これまたたっぷりと。多賀谷先生の独特のリードが冴えています。
最後はイザイのヴァイオリンソロソナタ第2番。グレゴリオ聖歌の怒りのメロディーが繰り返し、形を変えて出て来ます。音色の使い分けが素晴らしい。
アンコールにパラディスのシチリアーノで、長い音楽の旅路から帰港したかのような、異次元トリップを終えたという、満足感と虚脱感を共有した2ステージでした。
オーストリア留学に向けて研鑽中の栗原さん、これからも頑張っていただきたいものです。


Progrum
13:30
Bach : Violin Solo Sonata no.1 Adagio&Fuge,
Mozart : Rondo,
Paganini : Caprice no.24 & IPalpiti,
Mendelssohn : Piano Trio 1st mov..

16:00
Bach : Violin Solo Sonata no.1 Adagio& Fuge,
Paganini : Caprice no.24,
Mozart : Violin Concerto no.3,
Beethoven : violin Sonata no.8,
Ysaye : Violin Solo Sonata no.2.


栗原壱成
3歳よりヴァイオリンを始める。7歳で鎌倉市小・中・高学生音楽コンクールで第1位ならびに議長賞受賞。その後、日本クラシック音楽コンクール第3位(最高位)、大阪. 国際音楽コンクール第2位、スペインで行われた国際ソロヴァイオリンコンクール第2位(最高位)、オーストリアでのベートーヴェン国際ヴァイオリンコンクール第2位. (最高位)、ナウェンチェフ国際ヴァイオリンコンクール(ポーランド)第1位および全力テゴリーでグランプリを受賞、岐阜国際弦楽コンクール第一位およびグランプリ受賞。オーストラリア、イタリア、ポーランド、中国の音楽祭に出演。これまでに梅津南美子、清水高師の各氏に師事。東京藝術大学付属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学音楽部在学中。
 
pf.多賀谷祐輔
1985年広島県呉市生まれ。東京藝術大学音楽学部附属高校、同大学を経て、大学院修了。
高校在学中、フィナーレ・リグレ市パルマ・ドーロ賞国際コンクールにて第1位。大学在学中は学内にてアリアドネ・ムジカ賞、同声会賞を受賞。大学院ではシューベルトを研究テーマに、当時の楽器とモダンピアノの比較考察、シェンカー理論による楽曲分析をメインとした論文により2011年、修士号を取得、修了演奏に於ける成績優秀者ジョイントリサイタルに出演。この間、小嶋素子、辛島輝治、渡辺健二、ゴールドベルク山根美代子各氏に師事。また室内楽を山崎伸子氏、ピアノデュオを角野裕氏、フォルテピアノを小倉貴久子氏に師事。大学院在学中の2008年、文化庁新進芸術家海外留学制度によりアムステルダム音楽院に留学、ヴィレム・ブロンズ、長岡純子両氏に師事。スタンリー・ホッホランド氏にフォルテピアノを師事。オランダ滞在中はダンスを交えた即興パフォーマンスにも参加。2012年、ザルツブルク・モーツァルト国際室内楽コンクールにピアノトリオにて出場、第1位。褒賞としてザルツブルク・ミラベル宮殿にて二晩の演奏会を行った。
現在、東京芸術大学非常勤講師。
 

栗原壱成


多賀谷祐輔