第71章
バッハ:ゴールドベルク変奏曲 弦楽三重奏版
全曲演奏会
出演 : 毛利文香・田原綾子・笹沼樹
場所 汐留ホール 13時30分開場14時開演
ご来場ありがとうございました。
バッハ:ゴールドベルク変奏曲 弦楽三重奏版
全曲演奏会
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ご視聴料金 1000円
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第71章バッハ:ゴールドベルク変奏曲 弦楽三重奏版全曲演奏会レビュー
ゴルトベルク変奏曲 は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによる全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻で正式名称「2段鍵盤のチェンバロのためのアリアと変奏曲」です。
不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために若いお抱えチェンバロ奏者のゴルトベルクに演奏させるために作曲したという逸話から「ゴルトベルク変奏曲」の俗称で知られています。
ピアノが主流となった時代から20世紀初頭まで演奏されることは少なかったようですが、カナダのピアニスト、グレン・グールドはレコード会社に反対されながらもデビュー盤にこの曲を選択、1956年にリリースされたピアノ演奏のレコードは世界的な大ヒットとなりました。ちなみに、グールドは1981年にも再リリースしており、初期の演奏時間が38分28秒に対し、後期は51分21秒、初期はハイスピードで高度なテクニックで世界中を驚かせましたが、後期の録音では穏やかで、深い音楽性を追求し。解釈が変化した事が分かります。
今回、この大曲の弦楽三重奏版に挑むのは、毛利文香さん、田原綾子さん、笹沼樹さん。3人は桐朋学園大学の同期で、これまでにも室内楽で共演されている朋友です。
曲は32小節から成るアリアを最初と最後に配置し、その間にアリアの32音の低音主題に基づく30の変奏が展開され、全部で32曲。
アリアはサラバンド風の美しく印象的なテーマ。
この後30の変奏曲が続きます。カノン、メヌエット、フーガ、様々な装飾音とハーモニーが展開されていきます。時に懐かしく、しんみりと、あるいはかわいらしく、コミカルに、そして激しく繰り返す波のように。
ピアノとはまた違った、エキサイティングな演奏で、とても眠るどころではなく(笑)、あっという間に冒頭のアリアが再現され、長旅の終着点に戻ってきました。
観客数を減らしての開催で、とても贅沢な時間を共有できました。
2021年の幕開けに、意欲的なプログラムに取組んでくれた若い3人。ますます応援していきましょう♫
毛利文香 プロフィール
2012年、第8回ソウル国際音楽コンクールにて、日本人として初めて、最年少で優勝。
2015年、第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールにて第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール2015にて第6位入賞。
これまでに、川崎市アゼリア輝賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞、京都・青山音楽賞新人賞、ホテルオークラ音楽賞を受賞。
ソリストとして、神奈川フィル、東京フィル、東京シティフィル、東京響、群馬響、大阪響、韓国響、ベルギー国立管、ブリュッセルフィル、クレメラータ・バルティカなど、国内外のオーケストラと共演を重ねるほか、サー・アンドラーシュ・シフ、アブデル・ラーマン・エル=バシャ、タベア・ツィンマーマン、堤剛、今井信子、伊藤恵などの著名なアーティストとの共演も数多い。
2016年3月には、紀尾井ホールにてデビュー・リサイタルを行った。
ヴァイオリンを田尻かをり、水野佐知香、原田幸一郎の各氏に師事。
桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース、及び洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミー修了。
慶應義塾大学文学部卒業。現在、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学し、ミハエラ・マーティン氏に師事している。
田原綾子 プロフィール
神奈川県出身。第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞、第9回ルーマニア国際音楽コンクール全部門グランプリを受賞。読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー管弦楽団等と共演の他、室内楽奏者としても幅広く活動中。これまでに藤原浜雄、岡田伸夫の各氏に師事。現在はパリ・エコールノルマル音楽院にて、ブルーノ・パスキエ氏から指導を受けている。桐朋学園大学院大学特待生。2015年度宗次エンジェル基金奨学生、第47回江副記念財団奨学生。サントリー芸術財団よりPaolo Antonio Testoreを貸与されている。
笹沼 樹 プロフィール
全日本学生音楽コンクール、東京音楽コンクール、日本音楽コンクールをはじめとする国内のコンクールで優勝、入賞後、2016年ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞及び特別賞を受賞。2019年ニューヨークヤングコンサートアーティストオーディションでは日本人のカルテットとして東京クァルテット以来50年ぶりの第1位を受賞した。ソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団をはじめとするオーケストラと共演。室内楽奏者としてはアルゲリッチ、ダン・タイ・ソン、ヴェンゲーロフ、ギトリスをはじめとした音楽家と国内外で共演を重ねる。2017年学習院大学文化活動賞受賞。同校でのリサイタルは天覧公演となり、毎年開催されている。桐朋学園ソリスト・ディプロマ・コース修了。学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科、桐朋学園大学音楽学部大学院卒業。堤剛氏に師事。2019年に日本コロムビアよりデビューアルバム『親愛の言葉』をリリース、レコード藝術特選盤に選出される。
使用楽器は1771年製C.F.Landorfi(宗次コレクション)。