第44章
實川 飛鳥 ピアノリサイタル

第一部 13:30 
第二部 16:00 
ご来場ありがとうございます。
 
冷たい風の中にも、梅の香りに春を感じる2月18日、銀座でちょっとクラシック第44章、實川飛鳥さんのピアノリサイタル。
飛鳥さんは現在東京芸術大学修士課程、オーストリアのグラーツ音大に留学し、研鑽を積まれています。
イスキア、グラーツ、ハノイ、ローマ、ミラノなど海外コンクールで多数入賞され、輝かしい成績をおさめられている有望な若手ピアニストです。
まず一曲目は、モーツァルトのピアノソナタ第1番。当時、モーツァルトは時代の最先端を行く音楽家でした。聴衆をびっくりさせてやろう、と奇想天外な仕掛けを施した、若々しさや遊び心が感じられる曲です。飛鳥さん、曲の解説を分かりやすくして下さいました。
続いてスペインの作曲家グラナドスの組曲ゴイェスカスより、嘆き、またはマハと夜泣きうぐいす。
6曲よりなる組曲で、2組の恋人達の悲恋の物語です。恋人がまさしく死のうとしている、悪い予感を感じるヒロイン=マハの嘆きと、ナイチンゲールの悲しくも美しい鳴き声をピアノの音で表現し、情感が伝わって来ます。 しんみりとしたところで、
3曲目は、フランスの作曲家、フォーレのバラード。羽生結弦君のショートプログラムはショパンのバラード第1番でしたが、フォーレは大失恋の失意の中でこの曲を書き上げ、当時の大作曲家、リストに作品を見せに行きました。リストは超絶技巧のピアニストとしても有名ですが、どれ弾いてみよう。と、数ページ弾いた所で、「この曲を弾くには指が足りない、続きは君が弾きたまえ」とフォーレに言ったという逸話が残っています。そのくらい難しいんですね。本当に決して派手ではないですが、味わいのある、弾き手には超難曲。
修士論文にフォーレを選んだ飛鳥さんならではの選曲です。
最後はドビュッシーの喜びの島。
その島に2人で行くと、幸せになれるという島行きの船に恋人達が乗り込んで、まさに出航しようとしている、という絵にインスピレーションを得てドビュッシーが書き上げた作品。
波を模した揺れるような、ワクワク感が満ち溢れた明るい華やかな曲をみごとに弾ききってくれました。ブラボー!
アンコールには、グリュンフェルドのヨハンシュトラウスII世のオペレッタ「こうもり」を編曲した、ウィーンの夜会。ワルツのリズムが華やかに、溜息の出るような指遣いを目前に、魅了された1時間でした。
お茶会は和やかな写真撮影会になりました。
平昌オリンピックの日本人選手の活躍で日本中が元気をもらっていますが、飛鳥さんにもたくさんの元気をいただきました。
3月にはオーストリアに戻る飛鳥さん。これからも是非皆さんで応援していきましょう!



グラナドス:嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす
〜組曲《ゴイェスカス》より
フォーレ バラードOp.16
ドビュッシー:喜びの島
 
このたびはコンチェルティーナ銀座で演奏させていただけますこと、本当に嬉しく思います。フォーレやグラナドス、ドビュッシーなど、ピアノの音色の魅力がたっぷり伝わる、色とりどりのプログラムを選びました。春の陽気が待ち遠しい日々ですが、美しい銀座の街でゆったりとしたひとときをお過ごしくださいませ。
 
1991年生まれ。2010年、中国(北京・上海)にて「中日青少年交流演奏会」に出演。2011年、第15回日本モーツァルト音楽コンクールピアノ部門第1位。「藝大プロジェクト2011」にピアノソロで出演。2012年、第2回ハノイ国際ピアノコンクール(ベトナム)第1位。ならびに、古典派作品、ロマン派作品、ドビュッシー作品の最優秀演奏者賞を受賞。 2016年、第11回国際モーツァルトコンクール(ローマ)第2位。第6回ピアノタレント国際コンクール(ミラノ)第2位。第4回イスキア国際ピアノコンクール(イスキア)第2位。マルタ・ディベリコンクール(グラーツ)第1位。
 
これまでに日本各地の他、ポーランド、中国、ベトナム、韓国、イタリア、フランス、ポルトガル、オーストリアの各地で演奏。ピアノを山田千代子、多美智子、御木本澄子、ダン・タイ・ソン、江口玲、マルクス・シルマーの各氏に師事。フォルテピアノを小倉貴久子氏に、室内楽を青柳晋、市坪俊彦、シュテファン・シリングの各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学を経て、現在東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程、グラーツ国立音楽大学(オーストリア)修士課程に在籍。