第49章
毛利文香 ヴァイオリンリサイタル
共演:原嶋 唯 

満員御礼
銀座でちょっとクラシック、第49回。連日の猛暑の中、毛利文香さんのヴァイオリンリサイタルが行われました。
毛利さんは、ソウル国際音楽コンクール最年少優勝、パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール第2位など、数々の賞を受賞され、国内外のオーケストラとソリストとして共演、桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース終了され、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学中。今回帰国のチャンスにリサイタルをお願いしました!
毛利さんが選んだのは、真夏にふさわしい(笑)
モーツァルトのソナタとベートーヴェンのクロイツェルソナタ。特に後者は、敢えてやっぱり夏こそ、激辛カレーでしょう!といったところでしょうか。
共演して下さるのは桐朋学園大学同級の原嶋唯さん。昨年の第86回日本音楽コンクールでは、第3位受賞、そのファイナルのドキュメンタリーがNHKで放映されたのは、ご覧になった方も多かったのではないでしょうか。
一曲目は、モーツァルト、ヴァイオリンソナタ第20番 ハ長調 K.303
モーツァルトがマンハイム滞在中に作曲、他5曲のソナタと共にパリで出版されました。第1楽章、第2楽章共に、典型的な形式の枠からは少し外れ、モーツァルト独自の斬新なアイディアが反映された作品となっています。サロンコンサートにぴったりな曲です。
2曲目は、ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第9番 イ長調 作品47『クロイツェル』
ドイツに留学中の毛利さん、ベートーヴェンのソナタ全曲勉強したいと意気込みを語りました。
ベートーヴェンは生涯で10曲のヴァイオリンソナタを作曲しましたが、『クロイツェル』は彼のヴァイオリンソナタの最高傑作であるというだけでなく、今日演奏されているヴァイオリンソナタの中でも最も重要な作品の1つといえます。しかし、実はこの作品は非常に急いで書かれたもので、もともとはイギリス人ヴァイオリニストのブリッジタワーのために作曲されたのですが、女性をめぐる問題により2人の関係はうまくいかなくなり、最終的には当時パリで名声を博していたヴァイオリニスト、クロイツェルに献呈されました。しかし、クロイツェルが演奏することはついに一度もなかったのだそうです。
手書きの楽譜に「ほとんど協奏曲のように…という題の通り、ピアノとヴァイオリンによるまさに協奏曲のようなスケールの渡り合いは大きな聴きどころです。そんな中にも、時に互いに寄り添って協調する室内楽的要素が含まれます。毛利さん、原嶋さんのフレッシュなペア、聴きごたえのある、熱い演奏でした。
アンコールはショパンのノクターン遺作。ピアノ曲をヴァイオリ二ストのミルシュテインが、ヴァイオリンに編曲したもので、ピアノとまた違った味わい、しっとりと聴かせていただきました。
外の暑さに負けない、熱い2ステージでした。
お二人の今後のますますのご活躍を期待します♫
※ 8月25日土曜日 15時開演
毛利文香ヴァイオリンリサイタル。
南麻布セントレホール、共演: 原嶋唯
是非聴きにいきましょう!チケット3500円


曲目
モーツァルト : ヴァイオリンソナタK. 303
ベートーヴェン : ヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」

 
毛利 文香 (もうり ふみか)violin
2012年、第8回ソウル国際音楽コンクールにて、日本人として初めて、最年少で優勝。
2015年、第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールにて第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール2015にて第6位入賞。これまでに、川崎市アゼリア輝賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞、京都・青山音楽賞新人賞、ホテルオークラ音楽賞を受賞。ソリストとして、神奈川フィル、東京フィル、東京シティフィル、東京響、群馬響、大阪響、韓国響、ベルギー国立管、ブリュッセルフィル等、国内外のオーケストラと多数共演。また、宮崎国際音楽祭、武生国際音楽祭、NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」、イタリア・チェルヴォ音楽祭、クロンベルクアカデミー・フェスティバル等に出演。
2016年3月には、紀尾井ホールにてデビュー・リサイタルを行った。ヴァイオリンを田尻かをり、水野佐知香、原田幸一郎の各氏に師事。桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース、及び洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミー修了。現在、慶應義塾大学文学部在学中。
2015年9月より、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学し、ミハエラ・マーティン氏に師事している。第45回江副記念財団奨学生。
 
原嶋 唯 (はらしま ゆい) piano
第13回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA 高校生部門
アジア大会金賞(第1位)及びソリスト賞受賞。同コンクールプロフェッショナル部門、東京ピアノコンクール、デザイン国際ピアノコンクール等入賞。第2回桐朋ピアノコンチェルトコンペティション第3位。日本ショパンコンクール2015にて入選。2016年7月、ソリストに選ばれ桐朋学園大学オーケストラ定期公演に出演。高校卒業演奏会、桐朋学園音楽部門students' concert、銀座山野楽器音大フェスティバル、ショパンフェスティバル2015in表参道、桐朋学園サロンコンサートシリーズvol.31等、多数のソロ、アンサンブルのコンサートに出演。これまでにピアノを海老原ゑみ子、岡部厚子、三浦みどりの各氏に、現在、
三上桂子、仲道郁代、本村久子の各氏に師事。室内楽を練木繁夫、篠崎史紀の各氏に師事。2017年4月より桐朋学園大学大学院音楽研究科に在籍。また、イタリアタレントミュージックマスターコースにてアンナ・マリコヴァ氏に師事。