銀座18スペシャル

平野 和  平野 小百合  声楽 

梅雨寒の土曜となった6月16日、銀座でちょっとクラシックスペシャルは、バスバリトンの平野 和 さんリサイタル。

コンチェルティーナ50回のコンサート史上初の、声楽リサイタルとなりました。それというのも、こじんまりした空間で、迫力の声は厳しそう。お客様の鼓膜破壊が心配なためです。
しかし、今回は特別にコンチェルティーナ仕様プログラムを組んでいただきました。
平野和さんは、ウィーン国立音楽大学修士課程を首席で卒業、2008年よりウィーン・フォルクスオーパーと専属歌手として契約し、2012年の新演出版「フィガロの結婚」タイトルロールをはじめ、在籍10シーズンで約350公演に出演。ザルツブルグ祝祭劇場やウィーン楽友協会、ベルリン・フィルハーモニーなど主要なホールに客演し、世界をまたにかけて活躍している若手バスバリトンです。今回ロシア管弦楽団のソリストとしてサントリーホールの出演で帰国され、名古屋でのリサイタルを終えての銀座サロンでのリサイタルとなりました。
奥様の小百合さんは、武蔵野音大卒業後、伴奏者としての研鑽を積むためウィーンに渡られ、数々の国際コンクールで公式伴奏者をつとめ、コレペティトュアとして活躍されています。
そんなお二人をお招きして、まずグスタフ・マーラー「子供の不思議な角笛」より「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」聖職者であるアントニウスは、お説教をしようと教会に出向くが誰も居ないので、魚に説教する。魚たちには大受けで、サメやナマズ、川かます、蟹などは神妙に有難がって説教をきいている。しかし終わるや否や、元のどう猛なサメや好色なナマズ、横歩きのカニに戻ってしまうのだ。
人間社会をシニカルに風刺したマーラーらしい一曲から始まりました。
2曲目「原光」3曲目「高い知性を讃える」ナイチンゲールとカッコーの歌くらべ。審判員のロバのお目がねにかない、見事勝者になったのはどちらでしょう?平野和さんの楽しいトークで会場は和やかな雰囲気に。
続いて小百合さんのシューベルト 即興曲Op.90-3 で一転、シューベルトの世界へ。
シューベルトは3曲の歌曲集を残しています。水車小屋の娘、冬の旅。そして「白鳥の歌」
白鳥の歌はドイツの3人の詩人の詩を元に作曲されましたが、最晩年の作品を出版社がまとめて白鳥の歌と名付けました。
今回ハイネの歌による歌曲を6曲歌っていただきましたが、
物語を感じる構成で、観客は魅了されました。奥様の小百合さんとの仲睦まじい様子に、温かい気持ちになりました。
第1部は平野ご夫妻の二人のお子様とご両親も鑑賞され、アットホームに。
第2部アンコール「オンブラマイフ」で スペシャルで濃密な歌の世界は幕を閉じました。
2019年1月にはシュトラウス・フェスティバル・オーケストラのソリストとして日本ツアーで帰国される平野さん。
ぜひ皆さんも聴きにいらしてください。
オフィシャルホームページ http://www.yasushi-hirano.com


曲目
グスタフ・マーラー作曲 「子供の不思議な角笛」より
「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」
「原光」「高い知性を讃える」

Intermezzo ピアノソロ
フランツ・シューベルト作曲 即興曲0p.90より

フランツ・シューベルト作曲 歌曲集「白鳥の歌」より
ハイネの詩による歌曲
「漁師の娘」「海辺にて」「街」「影法師」「彼女の肖像」「アトラス」
 
平野 和

日本大学芸術学部音楽学科同大学を首席で卒業、卒業時に学部長賞受賞。
2000年オーストリア・ウィーン国立音楽大学声楽科へ入学、2003年同大学声楽科修了後、2007年同大学大学院オペラ科を首席で卒業。末芳枝、R.ハンスマン、R.ホルの各氏に師事。オペラではバロックから現代にいたるまで広範囲をレパートリーとし、ウィーン国立音大在学中より数々のオペラに出演。2004年ドイツ・ラインスベルク室内歌劇場国際コンクールで入賞、同オペラ主催の夏の音楽祭で世界的演出家ハリー・クプファー演出のヘンデル作曲「オットーネ」エミレーノ役に抜擢される。また、2006年夏にはザルツブルク音楽祭、ブレゲンツ音楽祭にソリストとして相次いで出演。コンサート歌手としてもバッハ、モーツァルト、シューベルトなどのミサ曲・カンタータ・オラトリオのソリストを数多く務め、ウィーン楽友協会、ベルリン・フィルハーモニーなど主要なホールに客演。

 
平野 小百合
武蔵野音楽大学大学院ピアノ科修了後、伴奏者としての研鑚を積むためウィーンへ留学。私立ウィーン音楽大学(旧ウィーン市立音楽院)伴奏科にて、歌曲伴奏法・室内楽奏法、その後文化庁新進芸術家在外派遣研修員としてオペラコーチングを修士課程において学び、全科首席で修了。ピアノを中河幸、サリー・サージェントの諸氏に師事、伴奏法をキャロリン・ヘイグ、クリスティン・オカルンドに師事。在学中、フーゴー・ブライトナー奨学金を授与。第23回ベルヴェデーレ国際声楽コンクール・コレペティツィオン部門にてベーゼンドルファー特別賞を受賞。
ベルヴェデーレ国際声楽コンクール、Competizione dell’opera公式伴奏をはじめ、アン・デア・ウィーン劇場やウィーン室内オペラなどでコレペティトュアとして活躍中。オーケストラピアニストとしてウィーン交響楽団やフォルクスオーパーオーケストラと共演。フォルクスオーパーでの“青髭公の秘密”ではピアノソロを担当、新聞紙上にて賞讃される。またソリスト、歌曲伴奏者、室内楽奏者としてヨーロッパ各地ならびに日本にて演奏活動を行っている。ウィーン舞台芸術協会ホールにてピアノソロリサイタルを開催。オーストリア国営放送テレビまたラジオに出演。J:opera主催子供のためのオペラ“長靴をはいた猫”、“シンデレラ”(マスネ)にて音楽監督を務める。センメリング夏期音楽祭やチロル音楽祭に出演。
グラーツ国立音楽大学声楽学科講師、ウィーン国立音楽大学教育学科ならびに教会音楽学科をへて現在同大学声楽学科講師。ウィーン在住。