第32章 玉川奈々福 銀座でちょっと浪花節 椿太夫の恋

春はもうすぐそこまで、暖かな陽光あふれる3月12日、日曜日、銀座でちょっと浪花節 第三弾は題して、椿大夫の恋。
 
漆黒に白い百合の花が浮かび上がり、白い帯と赤い帯締め、粋な花魁そのままの艶やかな着物姿の玉川奈々福さんは、今回コンチェルティーナ3回目の登場となります。
最近では雑誌「東京人」表紙を飾り、またクロワッサンや日経おとなのOFFでも取り上げられるなど、メディア出演目白押し!超売れっ子ご多忙な中、ご出演いただきました。
 
第1部では、奈々福さんのファンの方々はもとより、初めて浪曲を体験するという観客のために、浪曲とは?から解説いただきました。日本には数々の語り芸がありますが、落語や講談との違いは、ひとりではなく三味線と2人で物語を語り、曲を付けていきます。お三味線の沢村豊子師匠は、三波春夫さん、村田春男さんの時代から超一流浪曲師の三味線を務め、浪曲界の生き証人とも言える名人。凛とした音色が冴えわたります。
日本の唄の事始、すなわち和歌(やまとうた)を現代語訳の浪曲解説には、思わず納得。
さてさて
本日のメインは名作オペラ、原作アレクサンドル・デュマ・フィス「椿姫」の舞台をフランスから吉原に移し、花魁 椿の悲恋の物語を奈々福さんが独自にアレンジした作品です。
 
日頃は笑える演目が多い奈々福さん、今日ばかりは薄幸の美しい花魁になり切って、その可憐ではかなく、切々と心情をうったえる姿に、観客席から思わずすすり泣きが聴こえました。
 
1人で何人もの役を、声と所作で演じ分け、まさにオペラそのもの。見事としか言いようがありません。
木馬亭での定席の他、ほぼ毎日アクティブに、国内ではあきたらず海外にも活動の場を広げ、うなって(語って)いる奈々福さんから目が離せません!浪曲界を牽引するパワーを間近で感じた1日でした。


玉川奈々福(たまがわ・ななふく)浪曲師。1994年10月、日本浪曲協会主宰三味線教室に参加。1995年7月、玉川福太郎に曲師(浪曲三味線弾き)として入門。師の勧めにより2001年より浪曲師としても活動。2004年「玉川福太郎の徹底天保水滸伝」全5回、2005年「玉川福太郎の浪曲英雄列伝」全5回プロデュース。2006年本橋成一監督作品『ナミイと唄えば』出演。同年12月、芸名を美穂子から奈々福に改め名披露目。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作浪曲も手掛け、他ジャンルの芸能・音楽との交流も多岐にわたって行う。かに座のO型。
沢村豊子(さわむら・とよこ)曲師(浪曲の三味線担当)。福岡県大牟田市出身。幼少時より踊りと三味線を習っていたが、家近くの佐賀劇場に来た浪曲巡業の一行に誘われて11歳で山 本艶子に弟子入り。以来浪曲三味線一筋。戦後放送浪曲で売れっ子であった国友忠の相三味線を長らくつとめ、いまは主に国本武春と玉川奈々福の三味線を担 当。音締の美しさには定評がある。 玉川奈々福
 
■コンチエルテーナ銀座
全席自由2000円
お飲み物・茶菓子付
各部20 席限定
 
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