第77章
クリスマス室内楽コンサート
毛利文香、田原綾子、笹沼樹、實川風

日仏文化会館汐留ホール
 
満員御礼
2021もあとわずか。プレ・クリスマスイブの12月23日、銀座でちょっとクラシック第77章、クリスマス室内楽コンサート。汐留ホールをお借りしての開催となりました。
日本のクラシック界を牽引する若手演奏家4名という、大変贅沢な演奏会となりました。 前半はメンデルスゾーン、後半ブラームスのピアノカルテット。以下、プログラムノートから抜粋
 
メンデルスゾーン:協奏的変奏曲 ニ長調 作品17
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809-1847)がチェロとピアノのためにのこした作品は2曲のソナタと無言歌、協奏的変奏曲である。本日演奏する協奏的変奏曲はニ長調の爽やかな主題と8つの変奏からなる。ベートーヴェンが残した3つの変奏曲から続くピアノとチェロの対等な関係を残しつつ、互いのパートの対話の部分と一体となって進んでいく部分のコントラストがついた内容は、ロマン主義的な性格を併せ持つといえる。
 
メンデルスゾーン:ピアノとヴァイオリン、ヴィオラのための三重奏曲 ハ短調
Ⅰ. Allegro - Ⅱ. Scherzo - Ⅲ. Adagio - Ⅳ. Allegro
メンデルスゾーンの早熟な才能は、彼の弦楽八重奏曲(1825年作曲)などをはじめとする初期の作品に大いに表れている。しかし、最初期の作品には、彼の死後長い年月にわたって出版も演奏もされなかったものが多く‥中略‥もしかしたらメンデルスゾーン本人も、自分が11歳の時に書いた作品がまさか200年後にも演奏され続けているとは想像もしていなかったかもしれない…。ピアノとヴァイオリン、ヴィオラというこの稀な楽器編成も楽しんでいただきたい。
 
ブラームス:ピアノ四重奏曲第2 イ長調 作品26
Ⅰ. Allegro non troppo - Ⅱ. Poco Adagio - Ⅲ. Scherzo (Poco Allegro) - Ⅳ. Finale (Allegro)
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1861年に作曲したこのピアノ四重奏曲第2番は、かなり規模が大きく、演奏時間は約50分に及ぶ。その長さにも起因して演奏される機会は少ないが、彼の生前は、3曲の中で最も人気のある作品だったともいわれており、クララ・シューマン(1819-1896)は、彼に宛てた手紙の中で「私にはまったく素晴らしい作品だと思われました。(中略)ト短調(※第1番)より立派で、音楽的にも意味深く、第1楽章はずっと完成しております。」(B・リッツマン編、原田光子編訳『友情の書簡』より)と書いている。


2021は毛利さん、田原さん、笹沼さんのゴールドベルク弦楽三重奏版で始まった銀座でちょっとクラシック。
最後になかなか聴く機会の少ない、大作曲家のかくれた名曲を若手名手4人の演奏で聴くという贅沢なひとときで一年の疲れが癒されました。素晴らしい音のクリスマスプレゼントをいただきました。
どうか2022が、皆様にとって良い年になりますように♪
 

 
Program
メンデルスゾーン:協奏的変奏曲 ニ長調 作品17(Mendelssohn: Variations Concertantes in D major Op.17)
メンデルスゾーン:ピアノとヴァイオリン、ヴィオラのための三重奏曲 ハ短調(Mendelssohn: Trio for Piano, Violin, and Viola in C minor)
ブラームス:ピアノ四重奏曲第2番 イ長調 作品26(Brahms: Piano Quartet No. 2 in A Major, Op. 26)
 
毛利文香
2012年、第8回ソウル国際音楽コンクールにて、日本人として初めて、最年少で優勝。
2015年、第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールにて第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール2015にて第6位入賞。
これまでに、川崎市アゼリア輝賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞、京都・青山音楽賞新人賞、ホテルオークラ音楽賞を受賞。
ソリストとして、神奈川フィル、東京フィル、東京シティフィル、東京響、群馬響、大阪響、韓国響、ベルギー国立管、ブリュッセルフィル、クレメラータ・バルティカなど、国内外のオーケストラと共演を重ねるほか、サー・アンドラーシュ・シフ、アブデル・ラーマン・エル=バシャ、タベア・ツィンマーマン、堤剛、今井信子、伊藤恵などの著名なアーティストとの共演も数多い。
2016年3月には、紀尾井ホールにてデビュー・リサイタルを行った。
ヴァイオリンを田尻かをり、水野佐知香、原田幸一郎の各氏に師事。
桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース、及び洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミー修了。
慶應義塾大学文学部卒業。現在、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学し、ミハエラ・マーティン氏に師事している。
 
田原綾子
東京音楽コンクール、ルーマニア国際音楽コンクール優勝。読響、東響、東京フィル、都響等と共演、室内楽奏者としても国内外の著名アーティストと多数共演するなど、活躍の幅を広げている。デトモルト音楽大学にてファイト・ヘルテンシュタインに師事。サントリー芸術財団よりPaolo Antonio Testoreを貸与。
 
笹沼 樹
全日本学生音楽コンクール、東京音楽コンクール、日本音楽コンクールをはじめとする国内のコンクールで優勝、入賞後、2016年ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門第3位入賞及び特別賞を受賞。2019年ニューヨークヤングコンサートアーティストオーディションでは日本人のカルテットとして東京クァルテット以来50年ぶりの第1位を受賞した。ソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団をはじめとするオーケストラと共演。室内楽奏者としてはアルゲリッチ、ダン・タイ・ソン、ヴェンゲーロフ、ギトリスをはじめとした音楽家と国内外で共演を重ねる。2017年学習院大学文化活動賞受賞。同校でのリサイタルは天覧公演となり、毎年開催されている。桐朋学園ソリスト・ディプロマ・コース修了。学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科、桐朋学園大学音楽学部大学院卒業。堤剛氏に師事。2019年に日本コロムビアよりデビューアルバム『親愛の言葉』をリリース、レコード藝術特選盤に選出される。
使用楽器は1771年製C.F.Landorfi(宗次コレクション)。
 
實川 風
2015年ロン・ティボー・クレスパン国際コンクール(パリ・フランス)第3位、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞。2016年カラーリョ国際ピアノコンクール(カラーリョ・イタリア)にて第1位を受賞。本格的に国内外での演奏活動を広げる。
ベートーヴェンを核とした重厚なレパートリーに取り組む一方、邦人作品の初演でも作曲家より指名を受け携わる。 
海外の音楽祭への招待には、上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(フランス)・アルソノーレ(オーストリア)がある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、同大学大学院(修士課程)修了。
山田千代子・御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエイト課程にて、マルクス・シルマー氏に師事。